僕は自由を求めて会社を辞めた。
僕は以前、パチンコ業界の今で言う超ブラック企業に勤めていました。
パチンコ球を磨く機械や、各パチンコ台まで球を搬送するシステムを開発、製造販売する会社でした。
パチンコ業界って、超が10個くらい付くほどいい加減な業界です。
いい加減・・何がいい加減なのか?
解りやすく言えば、家電と同じで、
機械ものはやっぱり国産に限るってことです。
性能云々は色々ありますが、何と言っても壊れない。
テレビや冷蔵庫、洗濯機にしても壊れません。
10 年たっても、まだまだ使えます。
日本人として誇りに思えることの一つですね。
これら国産品に比べて、中国や韓国のメーカー製品はどうでしょう?
ネット通販で安いなと思って買ってみれば、いきなり壊れる。
クレームつけて交換してもらっても、それもまたすぐに壊れる。
そもそも不良品じゃない。
元々の製品自体が未完成です。
パチンコ業界のオーナーは、そのほとんどが韓国人。
パチンコ屋さんに設置されている多くの機器は、
日本で造られてはいますが韓国産と同じようなものです。
下請け業者が優秀な日本人技術者でも、
何の拘りも持たない韓国人オーナーが
『よしっ、そんなもんで十分だ!』と簡単にOKを出してしまう。
そして中途半端な製品が世に放たれます。
当然すぐに壊れる。
僕は、自社製品のメンテナンス要員として働いていました。
毎日毎日その機械が設置されているお店から、修理依頼が入ります。
『機械が止まっちゃったよー!今すぐに来いっ!』
当時パチンコ店の従業員はガラが悪くて、 どっかの組の怖い系の人ばかりでした。
『何だこの機械はー!こんなのすぐ外して持って帰れー!べらんめぇーわれぇー!』
修理しても、すぐに壊れる。
元々がそういう製品なので、 どんなに神経注いでメンテンスしても、またすぐに壊れる。
超いい加減な韓国人が、超適当に造った製品なので壊れるのは当たり前です。
パチンコ屋さんは夜の 11時頃まで営業しています。
ゴールデンウィークやお盆も、お正月も休まずに営業です。
だから僕も、365日ずっと携帯電話を持たされ、
お店からのクレーム電話を受けて、修理に向かいます。
『いつまで待たせんのやー、われぇー、すぐに来んかいっ!』
パチンコ屋さんの怖い店長から、ドスのきいた声で毎日怒鳴られる。
営業中に作業が出来なければ、深夜の作業になり家に帰るのは朝方・・
平均睡眠時間は 3 時間。
ブラック企業なんて、とっくに通り越しています。
このパチンコ業界というところは・・
パチンコ店はもちろん、機器メーカー、システムメーカー・・
いろんなメーカーの創業者たちは、みんな大金持ちです。
そこいらで騒いでるネット起業家とは、桁違いの『超大金持ち』です。
家の中に滝が流れてるは、観賞用のベンツが置いてあるは・・
成り上がった創業者、そして、おぼっちゃま育ちの後継者。
いずれも超が 20 個くらい付くワンマン経営者だったりします。
うちの社長も例外ではありませんでした。
傘下のグループを合わせると、 年商1000億円を超える大メーカーで、
業界の誰もが知る創業者一族の1人です。
おぼっちゃま育ちの超わがまま社長さまです。
何でも自分の思い通りにならないと、泣き出します。
本当ですよ。
『うぇ~ん、あいつが俺様に逆らいやがったぁー!』・・って、取り巻き連中に言いつけます。
そうすると、取り巻きが逆らった奴を処罰するんですね。
ゴルフ場でも同じようなことが起こります。
社長の打った球がとんでもない方向へ飛んで行こうと、
フェアウェイの真ん中にちゃんと戻ってきます。
池の中にポチャリと飛び込んでも、 不思議なことに数秒後にはちゃんとグリーンに乗ってます。
バカ社長だけが、本気で運があると信じています。
そういう『係』がいるんですね。
社長の打った球を拾ってナイスショットな場所へ移動する『係』が。
OB なんて絶対にありえない。
まるで、お笑いコント。
そんな世界が現実にあるんです。
社長よりも良いスコアで周ろうものなら、バカ社長がまた泣き出します。
『うぇ~ん、なんで俺が 1番じゃないんだ~! あいつズルしてるんじゃないのかー!』
取り巻きどもが
社長より良いスコアで周った若い社員に厳重注意します。
『ズルは駄目だぞっ、おまえは失格!』・・って。
まるで王様ですね。
王様。
ワンマン社長の鶴の一声で全てが決まります。
当然、誰一人逆らわない。
社員はいつも王様のご機嫌を伺いながら仕事をしています。
王様が『こうだ!』と言えば、
周りは口を揃えて『社長~、それは素晴らしい!』と言います。
今流行りの『御意っ!』ですね。
『社長~、それは違うと思います。』なんて言ったら、また泣き出します。
取り巻きどもが、社長に反対意見した社員を地方へ飛ばします。
社長はいいですよ。
馬鹿だからしょうがない。
問題はこの雰囲気ですね。
いつもいつも社長に気を遣い決してNOとは言えない。
NOと言った人間を全員で締め出す。
そんな異様な世界に嫌気がさしてある日、僕は社長に言いました。
『社長! カラスはやっぱり黒でしょ~っ!』って。
いつものように社長は泣き出します。
その当時、僕もそれなりの役職についていたので、取巻き連中も僕には意見できません。
すると社長が、
『みんな~ちょっとええか~? ワシと根本、どっちが正しいのか、みんなに聞こうじゃないか~!』
多数決・・
でも、結果は見えています。
陰ではみんな社長の悪口言ってる癖に、いざという時はみんな社長側。
『社長のおっしゃる通りです~。』
みんなが口を揃えて言いました。
『確かに、カラスは白です!』
社長が『カラスは白い!』と言ったら、カラスをとっ捕まえて、白いペンキをぶっかけてでも白くする。
『えっ、今は何時代?』って感じです。
『裸の王様』は物語ですが、現実は違います。
『あの王様は裸じゃん!』なんて言ったら、 例え子供であろうと処刑されちゃいます。
その時、僕は思いました。
他人に気を遣って自分の思っていること何一つ意見できない。
それでいいのか?
そんな仕事をしていて恥ずかしくないのか?
そんな人生のどこが楽しいのか?
365 日、毎日明け方まで、真っ黒になって働いても、社長に気を遣って自分の思ったことを何一つ言えない・・
僕は会社の雰囲気に我慢できず、15年務めた会社を去ろうと決意しました。
僕は自由になりたかった。
誰にも気兼ねすることもなく自分の意見が言える、 正しいと信じた道を行ける・・